家族や親族が亡くなると、限られた時間の中で火葬や葬儀を行い見送ることになります。一般葬・一日葬・家族葬など故人の見送り方はさまざまです。
近年は葬儀スタイルが多様化しており、故人の生前の考え方や遺族のニーズに合わせて直葬(ちょくそう)が選ばれることもあります。直葬に興味がある方は、どのような葬儀スタイルなのかチェックしておきましょう。
今回は、直葬の概要とメリット・デメリット、費用相場や葬儀の流れについて詳しく解説します。基本的なマナーも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 直葬(火葬式)とは?
直葬とは、葬儀をせずに火葬のみを行うスタイルです。「火葬式」とも呼ばれ、他の葬儀スタイルと比べてシンプルな形式が特徴となっています。
直葬では、一般的な葬儀のようなお通夜・葬儀・告別式を行いません。短い時間で故人を見送ることになるため、参列者は家族や親族など身内のみとなる場合がほとんどです。
直葬と他の葬儀スタイルとの違いは、下記の通りです。
内容 | 時間・日数 | 参加者の範囲 | |
直葬 | 火葬 | 約3時間 | 家族 |
一日葬 | 告別式、葬儀、火葬 | 約半日 | 家族、親族、親しい知人 |
一般葬 | お通夜、告別式、葬儀、火葬 | 約3日 | 家族、親族、友人、職場関係者など |
家族葬 | お通夜、告別式、葬儀、火葬 | 約3~5日 | 家族、親族 |
また、直葬と同じように簡略化された葬儀スタイルに「一日葬」があります。一日葬もお通夜を行わないため、一般葬に比べて流れがシンプルです。ただし、告別式と葬儀を行う点が直葬とは異なります。
直葬は、大規模な葬儀が行えなくなったコロナ禍をきっかけに注目されるようになりました。とは言え、直葬を選ぶ方は一日葬と同様にやや少ないのが現状です。
2. 直葬のメリット
直葬は、故人を見送る家族にとってさまざまなメリットがあります。費用や家族の負担を抑えたい場合は、直葬が適しているでしょう。
直葬を選ぶメリットは、下記の通りです。
火葬までの期間を短縮できる
直葬は、他の葬儀スタイルに比べて火葬までの期間を大幅に短縮できます。一般葬や家族葬は3~5日であるのに対して、直葬は短時間で済ませられることが最大の特徴です。
参列者は当日火葬場に集合して、最後のお別れをします。何度も移動したり宿泊したりする必要もないため、参列者の身体的負担を軽減できます。
経済的な負担を抑えられる
直葬は、お通夜・告別式・葬儀を行わないため、葬儀費用や接待交際費がかかりません。他の葬儀スタイルに比べて経済的な負担を抑えられます。
家族の対応が最小限で済む
お通夜や葬儀を行う場合、家族は弔問客の対応が必要です。家族を亡くした家族にとって、葬儀の手配や会食時の接待は心身ともに負担が大きくなります。しかし、直葬であれば参列者が限定されるため、対応が最小限で済みます。
3. 直葬のデメリット
直葬にはメリットだけでなくデメリットもあるため、事前に注意すべき点を把握しておくことが大切です。
直葬の主なデメリットは、次の通りです。
お別れの時間が短い
直葬はお別れの時間が短いため、故人をゆっくりと偲ぶことはできません。お別れの時間は、5~10分であることを理解しておきましょう。
弔問客が自宅を訪れる場合がある
直葬は家族のみで故人を見送るため、友人や職場の関係者などが後日自宅を訪れる場合があります。一般葬や一日葬であれば弔問客の対応やお返しの用意をまとめて行えますが、直葬では個別に対応が必要です。
落ち着いたタイミングで弔問の機会を設ける場合は、亡くなってから2週間以内を目安に挨拶状を送りましょう。
親族からの理解が得られない場合がある
お通夜や葬儀を行わないことに抵抗感を持つ方もいます。最後のお別れができなかったことが原因で、親族同士でトラブルになるリスクもあります。直葬を希望する場合は、親族に事前に伝えておきましょう。
4. 直葬の費用相場
直葬にかかる費用額は、利用する葬儀社や選択するプランによって差があるものの、約20万~40万円が相場です。
直葬にかかる主な費用は、次の通りです。
- 火葬費用
- ご遺体運搬費用
- 棺や骨壺などの備品代
- スタッフの人件費
お別れのお花の用意や遺影写真の作成などのオプションを付ける場合は、追加費用が発生します。
他の葬儀スタイルの費用相場は、下記の通りです。
1日葬 | 約30万~40万円 |
一般葬 | 約110万~120万円 |
家族葬 | 約80万~100万円 |
一日葬と直葬を比べると、費用相場は同じぐらいか直葬のほうがやや安い傾向にあります。葬儀の規模が大きくなる一般葬と家族のニーズに合わせた葬儀を行う家族葬は、直葬の2~3倍近く費用が高くなります。
5. 直葬の主な流れ
直葬の主な流れは、次の通りです。
(1)ご臨終 | 病院で亡くなった場合は、医師から死亡診断書が発行されます。自宅で亡くなった場合は、事件性の有無を確認するために警察の検視が必要です。 |
(2)安置 | 自宅または安置施設でご遺体を安置します。移動が必要な場合は、寝台車で搬送します。ご遺体の扱いは難しいため、搬送は葬儀社に依頼するのが一般的です。 |
(3)納棺・出棺 | 故人に仏衣を着せて棺に納め、火葬場へ運びます。棺には花や故人が好きだったものも一緒に納めることもできます。ただし、入れられない物もあるため注意しましょう。 |
(4)火葬 | 火葬場で最後のお別れをした後、火葬が行われます。火葬にかかる時間は1~2時間が一般的です。火葬が終わるまでの時間は、待合室で待機します。 |
(5)お骨上げ | 火葬が終わり次第、遺骨を骨壺に納めます。お骨上げは地域によってやり方が異なるため、スタッフの指示に従いましょう。 |
直葬では、まずご遺体を安置場所に搬送してから納棺や火葬が行われます。
葬儀社や僧侶との打ち合わせは、ご遺体の安置が済んだタイミングで行います。火葬までの流れで気になることがあれば、事前に確認しておきましょう。
6. 直葬の基本的なマナー
直葬は宗教的な儀式を行わないため、正喪服を着る必要はありません。ただし、カジュアルな服装はマナー違反となります。準喪服や略喪服で参列しましょう。
服装以外で押さえておきたい直葬の基本マナーは、下記の通りです。
亡くなってから24時間は遺体を安置する必要がある
直葬の納棺からお骨上げまでは数時間で終えることができますが、納棺ができるのは死後24時間が経過してからです。亡くなってから24時間は、ご遺体を安置しなければならないと法律で定められています。
安置施設を利用する場合、故人とは対面ができないケースがほとんどです。お別れの時間を確保したい方は、対面可能な施設を選ぶとよいでしょう。
家族・親族や菩提寺の理解・了承が必要となる
直葬は一般葬と異なる点が多いため、家族や親族の理解が得られない可能性もあります。家族や親族との間でトラブルにならないように、事前にしっかり説明しておきましょう。直葬に間に合わない家族や親族がいる場合は、後日お別れ会を開くなど故人を偲ぶ時間を作るのも1つの方法です。
また、儀式を行わない直葬を快く思わない僧侶もいるため、菩提寺に納骨を断られることがあります。納骨したい菩提寺が決まっている場合は、必ず了承を得ておきましょう。
まとめ
直葬には、「経済的な負担を軽減できる」「家族の対応が最小限で済む」などのメリットがあります。ただし、家族や親族、菩提寺の理解や了承が得られるように、事前にしっかり説明しておくことが大切です。
横浜市の市営斎場「横浜葬儀メモリアルセンター」には、火葬場が併設されており直葬にも対応しています。直葬プラン(火葬儀プラン)の費用は10万5,000円からとなっており、オプション以外の別途料金は一切かかりません。
各種割引・補助金の活用でさらに費用を抑えられるため、費用の心配なく故人を送り出したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。