近年では核家族化や少子高齢化が進み、葬儀に対する価値観も多様化しています。このような背景から、短時間かつ小規模で葬儀を終えられる「直葬」を選ぶ方も増えてきました。しかし、従来の一般葬とは異なる葬儀スタイルであるため、直葬を選択することに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、直葬の概要や一般的な流れ・スケジュールについて詳しく解説します。直葬の費用相場や内訳、費用を抑えるための方法も併せて確認し、直葬を執り行うための準備を進めていきましょう。
1. そもそも直葬とは?
そもそも直葬とは、通夜や告別式を省いて火葬のみを行う葬儀スタイルのことを指します。直葬は火葬式とも呼ばれ、葬儀の参列者は遺族や親戚、故人と親しい間柄にあった方たちなど少人数で行われることがほとんどです。故人との最後の別れは火葬炉の前で行われ、火葬後に遺骨を骨壺に収めることで葬儀が終了となります。
直葬は短時間かつ小規模で執り行えるため、忙しい方や遠方の親戚が多い方、葬儀の費用を抑えたい方などを中心に直葬を選ぶ方も増えています。直葬にはメリット・デメリットの両方があるため、下記の記事も参考にしながら、「自分や家族が直葬に向いているか」を確認しておきましょう。
2. 【5STEP】直葬の一般的な流れ・スケジュール
直葬は火葬のみであるため、葬儀の流れもかなりシンプルなものになります。基本的には家族や親族、少数の友人のみが参列する式になるので、事前にある程度流れを把握することで、葬儀をスムーズに進められるようになるでしょう。
ここでは、直葬の一般的な流れ・スケジュールを5つのステップに分けて解説します。
2-1. STEP1:臨終
故人が医療機関や介護施設などで亡くなった場合、医師による臨終確認後に「死亡診断書」を受け取ります。自宅で亡くなった場合はかかりつけ医に連絡し、臨終確認をしてもらった後に死亡診断書を作成してもらいましょう。事件性がある場合は警察に連絡し、検死が終わったら「死体検案書」を受け取ってください。
死亡診断書や死体検案書は、火葬の際に必要な書類となります。これらの書類を受け取ったら、葬儀社に連絡して直葬の準備に入りましょう。
2-2. STEP2:搬送・安置
故人の遺体は、法律で死後24時間を経過しないと火葬ができないと定められているため、火葬までの間は自宅や葬儀社の安置所に搬送し、遺体を安置しておく必要があります。遺体を搬送する車は葬儀社が手配しますが、棺やドライアイスの準備が必要になるため、葬儀社には早めに連絡しておきましょう。
遺体の搬送・安置が完了したら、故人の本籍地か死亡地、または届出人の居住地の市区町村役場に死亡届を提出し、火葬許可証を受け取ります。このタイミングで親戚や故人の友人などに訃報を伝えるとともに、葬儀社の担当者と葬儀の打ち合わせを進めてください。
2-3. STEP3:納棺・出棺
火葬を行う日を迎えたら、葬儀社の担当者が遺体の着替えや髭剃り(女性の場合は死化粧)を行った後、遺体を棺に納めて故人との最後のお別れを行います。故人が好きだったものやお花などの副葬品を入れる場合は、このタイミングで棺に納めておきましょう。
納棺が終わったら、棺を霊柩車に乗せて火葬場に向けて出発します(出棺)。霊柩車に同乗できるのは喪主や遺族1~2名ほどであるため、参列者が他にいる場合は移動手段を手配することを忘れないようにしましょう。
2-4. STEP4:火葬
火葬場に到着したら、棺を火葬炉に運び、火葬を行います。火葬前に僧侶の読経や焼香が行われる場合もありますが、無宗教の方やこだわりのない方の場合は省略するケースも少なくありません。
火葬が終わるまでは1時間~1時間半ほどかかります。その間は、控室や休憩室などで待機しておきましょう。
2-5. STEP5:骨上げ(収骨)
火葬が終わったら、遺骨を骨壺に収める「骨上げ(収骨)」を行います。骨上げの作法は地域によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。親戚や参列者、葬儀社の担当者などと相談しながら骨上げの方法を考えておくとよいでしょう。
3. 直葬にかかる費用の相場と内訳
直葬にかかる費用は、利用する葬儀社や選択するプランによって差があるものの、一般的には約25万円が直葬の費用相場であると言われています。10万円台の安価な葬儀社・プランもあれば、40万円以上かかる高めの葬儀社・プランもあることを押さえておきましょう。
直葬にかかる費用は主に「葬儀社」と「火葬場」に支払いますが、この2か所への支払い以外に必要となる費用もあります。ここでは、直葬にかかる費用の相場やその内訳について解説します。
3-1. 葬儀社に支払う費用
葬儀社が提示する直葬プランの基本料金には、主に次のような費用が含まれています。
【葬儀社が提示する直葬プランの基本料金】
項目 | 費用相場 |
棺代 | 3万~5万円 |
骨壺代 | 5,000~3万円 |
安置費用 | 1万円(1日あたり) |
寝台車・霊柩車の手配費用 | 1万~2万円 |
ドライアイス代 | 5,000~8,000円(1日あたり) |
基本料金の料金や基本プランに含まれるサービスは、葬儀社によって異なります。直葬を執り行うのに必要な項目が揃っているか、事前に十分確認しておきましょう。
3-2. 火葬場の使用にかかる費用
火葬場の料金は自治体や運営企業によって異なるため、葬儀社のプランに含まれていないケースがほとんどです。公営の火葬場の場合、民間の火葬場よりも費用を抑えられる傾向がありますが、地域によって費用が大きく異なるため、事前に必ず確認しておきましょう。
エリア | 費用相場 |
東京23区 | 4万~7万5,000円 |
神奈川県横浜市 | 1万2,000円 |
大阪府大阪市 | 1万円(会場により異なる) |
愛知県名古屋市 | 5,000円 |
北海道札幌市 | 無料 |
福岡県福岡市 | 2万円 |
3-3. その他の費用
葬儀社や火葬場に支払う料金以外にかかる費用には、控室代や寝台車・霊柩車以外の車代などが挙げられます。
また、特別なオプションを追加した場合は、別途費用が必要となることに注意しましょう。葬儀費用をなるべく抑えたい方は、基本プランやオプションメニューのサービスをしっかり確認した上で、予算を超えないようプランやメニューを選択することが大切です。
4. 直葬の費用を安く抑える3つの方法
直葬は他の葬儀形式と比べて経済的な負担を大幅に軽減できる葬儀スタイルですが、工夫次第でさらに費用を抑えることも可能です。
ここでは、直葬の費用を安く抑えるための方法を3つ紹介します。制度の活用や葬儀社の選定などを適切に行い、コストを抑えながらも故人や遺族の心が満たされる直葬を執り行いましょう。
4-1. 補助金制度を利用する
直葬にかかる費用を抑える方法として、公的な補助金制度を活用することが挙げられます。遺族の経済的な事情で葬儀を行うことが難しい場合には、最低限の葬儀を執り行えるよう自治体が費用を負担してくれる「葬祭扶助制度」の利用を検討してみましょう。
また、故人が国民健康保険に加入していた場合、加入していた自治体から5~7万円ほどの葬祭費を受給することができます。また、社会保険に加入していた場合は5万円の埋葬料を受け取れるため、忘れずに申請するようにしましょう。横浜市などでは火葬料金の補助制度もあるため、居住地の補助制度も事前に確認しておくことが大切です。
4-2. プラン内容が充実している葬儀社を選ぶ
直葬の基本プランの内容は、葬儀社によって大きく異なります。例えば、遺体安置に必要なドライアイスの費用が基本プランに組みこまれている葬儀社もある一方、有料のオプションサービスとして提供している葬儀社も少なくありません。
特に、10万円以下の安価な直葬プランは、基本プランの内容が充実していないケースも多く見られます。費用だけに着目せず、費用とプラン内容のバランスを考慮して適切な葬儀社・プランを選ぶようにしましょう。
4-3. 複数の葬儀社に見積もりを依頼する
自分や家族にあった葬儀社・プランを選ぶためにも、複数の葬儀社に見積もりを依頼し、必要となる葬儀費用をなるべく正確に把握しておくことが大切です。
費用面の比較と併せて葬儀社の雰囲気やサービスの内容・質も併せて確認し、複数の葬儀社からより信頼できる葬儀社を選ぶようにしましょう。
まとめ
直葬は通夜や告別式を省略して火葬のみを行う葬儀形式であり、「費用を抑えられる」「短時間で葬儀を終わらせられる」といったメリットがあります。直葬をスムーズに進めるためにも、流れや費用相場を事前に確認しておきましょう。費用を抑えながらも満足のいく直葬を執り行えるよう、余裕をもって事前準備を行うことも大切です。
横浜市で直葬を検討している方には、火葬場が併設された横浜市の市営斎場「横浜葬儀メモリアルセンター」のご利用がおすすめです。費用の心配なく安心して故人を送り出したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。