リード文:葬式メイクは悩みどころです。美しくメイキャップしたつもりが、タブーだと言われることも。冠婚葬祭ってメイクまでNGがありますから。今回は葬式メイクでNG例をあげながら、安心して出席できるメイク法をお伝えします。
ベースメイクは?スッピンはNG?
テンコさんは、沢山の人々が出席している友人のお葬式に出席していました。セイカさんはテンコさんのお友達です。二人の前にある女性が通りかかりました。その女性は2人に向かって軽く会釈をしました。「知ってる人?」「う~ん、わかんない。」「キレイな人だったね。アゴとオデコとお鼻にパールのようなキラキラが印象的だったわ。」「お葬式では、パールのキラキラ系のベースメイクはNGなのよ。」セイカさんは、目を細めながら女性を見つめて言いました。「あの人、スッピンかしら?お葬式だし、地味目でいいわね。私もスッピンで来ればよかった、普段はスッピンなのよ。」「スッピン!お葬式では、スッピンはNGよ。素足もNGなんだから。黒のタイツは必須ね。」テンコさんはナルホドと思いながら、受付をすませました。
アイメイクは気になるところ
「見て、あの女性メイクばっちりだわ。」目尻に太いアイラインを描き、焼香をあげている女性がいました。セイカさんはふぐのように頬をふくらませながら、不機嫌そうにこう言いました。「アイメイクでの太いアイライン、お葬式ではNGなのよ。それと、パンダ目にならないことね、だから細いアイラインで切れ長にするのがコツよ。見て、あの人さっき少しお話していたんだけど、アイシャドゥがピンクだったわ。アイシャドゥはね、ブルーやピンクなどの派手なものはNGなのよ。せめてブラウンかな、だけど目尻に少しいれるくらいがコツなのよ。眉毛もね、くっきりはっきり描きすぎるのはNGよ、細すぎるのもね。」テンコさんは、涙で目の周りが濡れてパンダ目になっていたのに気付いていません。セイカさんの目のことにはふれないようにしたテンコさん、もらい泣きしなくてよかったと思ったのでした。
どうしてもアクセサリーをつけたい場合
お焼香の時でした。ある女性の耳元では、流れるようなキレイなスワロフスキーのイヤリングが照明に照らされて、キラリ光っているではありませんか。「私もあんな風にアクセサリーして来ればよかったわ。」テンコさんはため息をつきながら言いました。「何言ってるのよ、お葬式ではね、アクセサリーは基本しないほうがいいのよ。どうしてもというなら、真珠にすることよ。婚約指輪さえはずさなきゃいけないのがお葬式。まあ、私なんて結婚していないからはずす必要もなく、楽なもんだわ。フフ。」強がっているのではないかしらと、テンコさんは感じ取ったのでした。
口紅はどこまでなら塗ってもいいの?
紅一点、その美しい女性は、喪服の出席者の中で際立って、華やかだったのでした。しかも喪主である友人の旦那さんの親戚なのだとか。「亡くなった彼女も、本当にキレイな人だったけれど、やっぱり家族や親戚もキレイな人が多いのね、まるでトランプ一族だわ。」彼女がいるだけで、そこはお葬式ではなく、喪服のパーティーか何かのように思えるくらいでした。「確かに、彼女はキレイだわ、だけどね、お葬式に真っ赤な口紅はNGなのよ。ハッキリ言ってブーイングだわ。唇の分厚い人が塗れば、オバQものよ。」セイカさんは、いささか興奮気味に彼女の口紅の赤さについて、テンコさんに討論をしかけてきました。周囲の人の中には「井戸端会議、楽しそうだね。」と茶化す人もいました。「じゃあ、あの人は?」テンコさんは、出席者の1人を見ながら気にせず言いました。彼女は、唇の上にファンデーションを付けており、マットすぎるくらいマットなメイクなのでした。「あそこまで、マットにしなくてもいいかと思うわ。幽霊みたい。だけど、口紅は一番難しいところね、スッピンはNGだし、派手な赤でもNGだしね。ナチュラルで浮かないくらいがベストよ。」
派手にならない清潔感あるメイクがポイント
お葬式ではたとえ黒のアイラインひとつでも、派手に見えてしまってはNGです。ですが、ノーメイクもNGなので、メイクアップというよりは、清潔感を意識した薄目のナチュラルメイクで参列するのがいいようです。お葬式ではチークパウダーも避けたほうがいいでしょう。